日常的な安全確認にちょうど良い
簡易のセルフ・チェック方法
通常の脆弱性診断サービスは安くても数十万円します。費用を抑えた簡易版サービスでも数万円はします。それなりに費用がかかることのため、中小企業や個人事業主においては「必要だと知っているけれど、予算の都合がつかず・・・」というように未だに実施されていないことが結構あります。そして未対策のまま放置された脆弱性を発端とする情報漏洩や遠隔操作などのインシデント(事故・事件)が度々発生しています。
この記事を書いている私はデジタル・フォレンジックが専門の技術者であり、その主な業務において、情報漏洩などのインシデントが起こった後の調査や、さらにその後の裁判案件などに対応しております。当社は東京・秋葉原にある小さな会社であり、大手企業に比べると調査件数は少なく、日本全体の状況をくまなく把握しているわけではありませんが、しかしそんな当社でも脆弱性関連の案件に対応することは割と頻繁にあります。そのような状況から推測しますと、全国あちこちで相当な件数が発生しているのだろうと予測できます。また、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が連携して「脆弱性診断の義務化」を進めていることからも、看過できないほど「ひどい状況」なんだろうなぁ、と思います。
脆弱性関連の被害を予防するためには、脆弱性診断の受診が必須です。しかしそれは前述したとおり安くない費用がかかることのため、中小企業などでは敬遠されがちです。
『社長や役員などの決裁権者に対し、脆弱性診断のことを進言したが、首を縦に振ってくれなかった。』ということもかなり多いはずです。
- 予算がないので脆弱性診断を専門業者に依頼できない・・・
- まったく何もやらないのはマズイよね・・・
- 自分で簡単に出来る範囲だけでもチェックしておきたいな・・・
これで万全というわけではありません。簡易チェックで調べられるのは「浅いところ」だけですし、それで検知できるのは数多くある脆弱性のうちの一部だけに留まります。しかしながら、これまで私が担当してきた実際の事故現場においては、そういう「浅いところ」の脆弱性がきっかけとなってしまったケースも結構ありました。例えば単純な設定ミスや、メンテナンス不足が原因で脆弱性が生じてしまうなど。そういう脆弱性に対処するための日常的な安全確認として、当記事でご紹介する簡易チェックをご活用頂けますと幸いです。